佐藤峰研究室/Mine’s Lab

小確幸のコミュニティデザイン/Community Design for Wellーbeing

エッセイ

昨日のような今日

投稿日:5月 29, 2021 更新日:

先日、大阪での大規模な予防接種の予約が始まったので、早速大阪の叔父に100歳の祖母がいつ受けるのかを電話で聞いてみた。すると、もう100歳だし、副反応も色々怖いので、受けないことにしたという。とてもゆっくりした暮らしをしているし、周りの人たちが受けられるのを待っても、彼女の中では「一緒のこと」だそうだ。時差くらいのものなんだと思う。なんというか、さすがにここまで達観して受け止められないけれども、時の流れをずいぶんと思い切って、「引き」で考えるのって、今一番必要なことの一つだろうなと、ちょっぴり唸る。

100歳の祖母と暮らす叔父さんも、多分もう70歳くらいだ。(叔父は不思議な雰囲気で、なんだか年齢を正確には把握していない。) 祖母が食欲があるのと、近所のスーパーの食品の質が微妙なのと、古い家の色々な修理のための材料を買ったり、古い人たちの色々な治療のための通院にと、最近、電動アシスト自転車を買ったらしい。「あれはすごいで。この前は〇〇まで行ってきたし。」というその場所は、記憶によると10キロ以上は普通にある。免許のない叔父の行動範囲は、史上最高に増えているようだ。声色が若干どやっている。

その後つらつらと叔父と話していく。叔父は(もちろん祖母も)スマホを使っていないどころか、携帯電話も持っていない。パソコンもあるにはあるけれども、あまり触っていないと思う。そうすると主な情報源は、自分の見聞、新聞と広告、ニュース、ラジオになるけれども、そのくらいで、こんな時には特にちょうどいいのかもしれない。

会話の終わりで、どういう流れかわからないけれども、コロナでとっても地味な暮らしをするようになって、「知り合いの知り合い」くらいの身近なところで感染者が出ている状況で、昨日のような今日が送れることが、こんなにありがたいことってないよねという話になった。体が強くなく何回も入院している叔父の口から出ると刺さる。もちろん、今の(かなり場当たり的な)政府や自治体の対応をスルーするのではなくて、自分の暮らしを毎日開いて閉じる、その連続の中で、何を毎日眠る前に思うかということだ。

まあ、イライラすることもたくさんあるのだけど、日常生活は突き詰めたらかなり奥行きも懐も深い、謎も多いものなんだろうなと改めて思う。

家から見える夕焼けはいつ見ても偉大

-エッセイ

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

生きるための読書

今年を振り返ると、とにかく動きが少ない、けれどもなんだか疲れる、そうは言っても家で過ごす時間が多くなって充実もしている、なんとも評価できない一年だった。もともと、途上国暮らしが長いので、外に自由に出ら …

月と暮らす

先月のこと。恒例の朝のウォーキングで、犬を散歩させている老婦人に久しぶりにすれ違い挨拶をした。彼女はかなり鉄壁の日焼け対策をしている。長袖長ズボン、つば広帽子にサングラスにマスクという出で立ちだからす …

私という恋人

6月に娘たちの学校がようやく再開して一人の時間が増えた。そこで一番変わったことと言えば、電車に長い時間乗らなくて住むようになった分、否応無くというか、自分が何を感じているのかということを考える時間が増 …

かわらないもの

子どもが学校に行っていなかった3月上旬から6月上旬までの、自粛期間の中で、朝のヨガに加えて、天候が許す時には、朝の散歩を日課にしてみた。あまりにパソコンに座っている時間が増えたから、仕事をする以外の時 …

Back in Touch

ずっと海外に行けなくなり本当に残念なのだけれども、最近海外にいる、しかも少し連絡を取っていななった古い友人が気になったり、向こうが気にしてくれたりで、次々とやりとりが再開している。20歳の頃に知り合っ …